日本語作文に現れる漢字語彙の母語転移に関する研究 : 中上級レべルの中・韓日本語学習者を中心に
Research on Mother Tongue Transfer of Kanji Vocabulary in Japanese composition : Focusing on intermediate and advanced Level Chinese and Korean Japanese Language Learners.
초록/요약
本研究は、『日本語学習者作文コーパス』を基盤に、中上級レベルの中国語母語話者及び韓国語母語話者によって作成された作文を研究対象に、日本語作文に現れた漢字語彙に着目し、作文過程における漢字語彙の使用実態を明らかにした。また、母語転移の側面から正用および誤用が起こる原因を究明し、中国語母語話者及び韓国語母語話者の間に存在する共通点および相違点を考察した。これにより、日本語学習者により正確かつ効率的な漢字語彙学習方法を提案することが期待できる。 本研究は、中・韓日本語学習者の作文を収録している『日本語学習者作文コーパス』のうち、中・上級レベルの中・韓日本語学習者が作成した作文から、研究対象である漢字語彙を抽出した。次に、中・韓日本語学習者が産出した漢字語彙を正用と誤用にわけ、その使用実態を分析した。漢字語彙の字形と意味を基に、産出された漢字語彙を「同形同義語」「同形類義語」「同形異義語」「非同形同義語」「非同形類義語」 「非同形異義語」に分類し、母語転移の観点から漢字語彙の正用と誤用が起こる原因を考察した。 その結果、小室リー(2019)が提唱した母語転移の類型と完全に対応しない場合もあることがわかった。特に、同形同義語に関しては、正の転移が期待されるものの、「転用注意CT-other」と「転用注意CT-other&gap」の類型に該当する誤用が存在し、母語からの影響が明確ではない誤用も観察された。中・韓国語を母語とする日本語学習者が日本語で作文する過程においての漢字語彙の誤用は、母語転移の影響を受けているが、その影響は複雑で多様である。また、漢字語彙の誤用は、主に意味と形態に対する理解不足に起因することが判明した。 このように、本研究は、日本語作文コーパスに対する考察を通じ、中・韓国語を母語とする中上級レベルの日本学習者が作文で漢字語彙の使用実態とそれに現れる母語転移の傾向が明らかになった。これは日本語教育において漢字語彙の教授法を改善するのに重要な示唆であると思われる。今後の研究としては、より大量の漢字語彙を取り扱い、より客観的かつ汎用性の高い研究を目指したい。
more목차
ABSTRACT III
초록 V
目 次 VII
第一章 序論 1
1.1 研究背景および研究目的 1
1.2 本研究の構成 2
第二章 理論的背景および先行研究 3
2.1 理論的背景 3
2.1.1 第二言語習得に関する理論 3
2.1.2 日・中・韓における漢字および漢字語彙の地域差 5
2.2 先行研究 9
2.2.1 漢字語彙の定義および分類 9
2.2.2 日本語学習者の漢字語彙の使用様相に関する研究 11
2.3 本研究の立場 14
第三章 研究方法 15
3.1 漢字語彙の定義 15
3.2 分析資料 16
3.3 分析方法 18
3.3.1 漢字語彙の分類基準 18
3.3.2 漢字語彙における正用と誤用の判断基準 19
3.3.3 母語転移の基準 21
3.4 分析手順 22
第四章 結果と考察 23
4.1 日本語学習者の正用実態と母語転移の傾向 23
4.1.1 中級日本語学習者の正用実態と母語転移の傾向 23
4.1.2 上級日本語学習者の正用実態と母語転移の傾向 28
4.1.3 小結 31
4.2 日本語学習者の誤用実態と母語転移の傾向 40
4.2.1 中級日本語学習者の誤用実態と母語転移傾向 40
4.2.2 上級日本語学習者の誤用実態と母語転移傾向 67
4.2.3 小結 86
第五章 結論 96
参考文献 103
辞書と電子資料 103
学術論文と単行本 103

