累伝説の変容様相 ‐『古今犬著聞集』から『死霊解脱物語聞書』へ‐ : A Study on changes of the Kasane's ghost story
A Study on changes of the Kasane's ghost story
초록/요약
江戸時代を代表する幽霊談である累伝説は、『古今犬著聞集』からはじまり、『死霊解脱物語聞書』によって定型化された。この定型化には累殺害の動機や過程、そしてその原因が大きな影響を与えた。累が殺されたのは顔が見苦しかっただけではなく、その心まで醜かったからだという設定、そして与右衛門の累殺害が与右衛門個人の問題ではなく、以前から続く因果の問題であり、村全体の問題であるという設定は、浄土宗布教のために効果的な装置となったといえる。すると、『古今犬著聞集』から『死霊解脱物語聞書』へという問題は、浄土宗の宗教的な特徴、たとえば「女性救済の道」「悪人正機説」の問題と合わせて考えるべきであろう。
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